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入金後のクレーム(Complaint)

一般に「クレーム」とは運送中に貨物の破損が発生したり、輸出者が契約条件と相違した品質のものを出荷したことによる損害について、輸入者が損害賠償請求することなどが考えられます。

運送状のクレームは「運送クレーム」と「保険クレーム」に種別されます。

国内取引でも当事者間で様々なトラブルが起こるように、貿易取引でもいろいろな事例が発生いたします。
しかし貿易では相手国が遠く外国で争う事がありますから国内とはその状況が大きく異なります。

いきなり損害賠償請求にまではいかなくても、まずは不満の意思表示だけはした方が良いでしょう。
この不満表明や現状況報告書は正式に相手に伝える為に、ファックスの方が良いと思います。
E-mailは契約書に正式な文書として了解する項目を入れてあったとしても、その簡便さからも軽視されがちです。
現状報告ぐらいでしたらE-mailでも良いかもしれません。


クレームの相手としては通常、次の場合が想定されます。

1.運送人に対するクレーム

運送中に生じた貨物の減失・損傷や延着などの原因により生じた損害について運送人等に対しクレームをつけますが、船会社などは船荷証券に多くの面積事項を記載しているので損害求償の範囲は限られてしまいます。

2.保険人に対するクレーム

一般に輸出者ないし輸入者は貨物に保険をかけているので、どの範囲まで損害がカバーされるか、保険条項に基づいて保険会社に求償します。

3.売主に対するクレーム

貿易売買契約書上のクレームの原因は、品質不良、品質相違、商品違い、梱包不備、規格相違、船積延着、量目不足、法規違反の船積みなどによる場合が考えられます。

クレームの種類と相手

クレームの種類としては運送状の商品損傷などによるクレームを運送会社に請求するものと、取引相手に対しての大きく分けて2種類あります。

運送状のクレームの相手としては「船会社」と「保険会社」になりますが、輸出の場合ですと輸入者からまず貴社に対してクレームが来ますので、輸入者に対して誠実に対応する必要があります。原因が判断できた段階で事後処理として船会社か保険会社に対しての損害求償になりますが、損害求償の対象になりうるかどうかは、乙仲業者にまず相談してみるのも一つの方法かと思います。

輸入の場合ですと、問題が発生した段階で取引相手に事実を伝え、取引相手から処理に当たってもらうのが一般ですので、事実を正確に取引相手に伝える事が重要です。

取引相手からのクレームの場合ですと、色々なケースが考えられます。

例えば取引国の第三者から「特許侵害」や「製造者責任」を追求される場合もあり得ます。
また単純なミスによる数量違いや品目違いなどを指摘される場合もあるでしょう。この場合ですと取引相手との交渉で和解に持ち込む手段を事前に想定しておくことで対応も即座にできる事でしょう。

処理の方法

クレーム処理の方法としては「和解」「斡旋」「仲裁」「訴訟」などがあります。

売買契約上のクレームであれば一般には当事者間で交渉し、裁判に至らず問題解決をはかる和解が最も多いと思います。 それでも解決できない場合であれば第三者による斡旋や仲裁を依頼し解決してもらう方法と最終的に訴訟による解決方法があります。

クレームによる損害賠償請求額の大きさにもよりますが、通常の貿易取引でクレームが発生した場合、 輸入地の第三者による国際的に権威のある検査機関(SGS等)の検査報告書(Survey Report)を添付し、 売主に対してクレームを提起されてきます。これはクレームを記したファックスなどの通信文の様な「客観的な証拠」を残しておけば、 仲裁や訴訟になった場合に役立つことが多いからです。

クレームは国によっても対処方法が変わります。
例えばアメリカなどでは訴訟に持ち込んでから交渉のステップの段階で和解に持ち込むケースもあります。 和解で解決できれば「和解書」を作成します。和解ができなければ「商工会議所」や取立業者などによる斡旋の方法があります。


仲裁については契約書の作成のところでもお伝えしましたが、 裏面に仲裁の方法や第三者による仲裁の事項を入れておくのが良いと思います。

では「仲裁」と「裁判(訴訟)」の違いは何でしょうか。

「仲裁」は当事者が「仲裁人」を選ぶ事ができるのに対して「裁判」は裁判官を選ぶことはできない点と、 仲裁は「一審性」に対して「裁判」は「三審性」であること、手続きは非公開と公開であることなどです。
特に裁判の場合ですと相当の期間と費用がかかるので慎重にすべきです。

輸出した場合で取引相手から訴訟された場合には国際弁護士に依頼するのが一般的です。

【参考著作】 日本経済新聞出版社発行 山田晃久氏著書 「ビジュアル 貿易・為替の基本」

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